品川・御殿山情報

2016.10/07

建築倉庫:
日本にただひとつの 建築模型のミュージアム

約450㎡の空間に計100の棚が並びます。奥には東京スカイツリーの模型も。

これから建てられる建物の完成形を、図面のような平面ではなく立体として表現するための建築模型。主に設計者によるプレゼンテーションの場で使用されるものですが、著名な建築家のそれは、設計における思考プロセスを示す資料としても、見応えのあるアート作品としても、価値が見出されています。そんな建築模型を展示する施設が2016年6月にオープンしました。

館内に入ってすぐ左手に、坂茂氏の模型が多数並ぶ棚があります。

「建築倉庫」は建築模型を一般公開するミュージアムであるだけでなく、模型を保存し、後世に残すことを目的とした施設です。そのため、温度や湿度などが徹底管理され、模型にとって最適な保存環境が用意されています。保存&展示されている建築模型は約220点。ひとつずつゆっくりと見ていくと、丸一日かかってしまいそうなほどです。

隈研吾氏の「浅草文化観光センター」では光による演出も。

隈研吾氏、青木淳氏、坂茂氏など日本を代表する建築家による代表作も並べられ、テレビや雑誌で見た有名建築や、実際に利用したことのある建物を様々な角度から見ることができるのは、熱烈な建築ファンでなくともワクワクと心踊るものです。

小嶋一浩氏と赤松佳珠子氏の「(仮称)釜石市立鵜住居地区学校等」は、建物内部まで精巧につくりこまれています。

なかには、小嶋一浩氏と赤松佳珠子氏の「(仮称)釜石市立鵜住居地区学校等」の模型のように、建物内部に小さな人型を設置しているものもあり、じっと眺めていると、まるで自分が実際に建物内部で過ごしているような感覚を覚えます。それは、ドールハウスで遊んでいる楽しさに少し似ているかもしれません。

青木淳氏の「濱江多目的センター(台北/台湾)」の外観のスタディ模型がずらりと並んでいます。

展示されている模型には、アンビルト(竣工されなかったもの)やスタディ模型(検討段階のもの)など、プロジェクトに関わった人物でないと決して目にすることのできない貴重なものもあります。さらに、実際に見に行くのが難しい海外の建築の模型もあり、まさにここでしか味わえない“建築体験”が可能なのです。

隈研吾氏の「中国美術学院民芸博物館(杭州/中国)」は、構造が分かる模型と外観が分かる模型の2種を展示。 片山正通氏率いるWonderwallの展示スペースも。

また、各展示には設計した建築家の名前やプロジェクト名など、模型の情報が記されたプレートが添えられています。そのプレートにQRコードが表示されているものもあり、スマホで読み込めば建築家のプロフィールとともに、実際の建物の写真を確認することができるといった仕掛けが隠されているのです。

館長の徳永雄太さん。

「芸術的価値の高い建築模型を通じて、日本の建築文化を広く世界へ発信したいと思っています。今後は展示だけでなく、トークショーやワークショップなど、たくさんの人に楽しんでいただけるようなイベントも開催していきます」と、館長の徳永雄太さん。

アートイベントなども開催される文化エリア、天王洲アイルの新たな注目スポット。

カメラを携えた建築ファン、建築家を目指す学生、手仕事に興味をもつ主婦グループ、芸術鑑賞を好む若いカップル……多種多様な人たちが訪れ、思い思いに模型を楽しむ「建築倉庫」。天王洲アイルの新たなアートスポットとして、これからも進化しそうです。

名和晃平氏率いるSANDWICHが設計した「洸庭(こうてい)」。

名和晃平氏率いるSANDWICHが設計した「洸庭(こうてい)」。

DGT.制作による1979年竣工のフランク・ゲーリー氏の自邸の模型も特別展示されています。

DGT.制作による1979年竣工のフランク・ゲーリー氏の自邸の模型も特別展示されています。

名称
建築倉庫
住所
東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫本社ビル1F
TEL
03-5769-2133
会館時間
11:00〜21:00(入館は20:00まで)
閉館日
月曜
入館料
一般 ¥1,000
高校生以下および18歳未満 ¥500
未就学児以下 無料
15名以上の団体は、入館料からそれぞれ200円割引
URL
http://archi-depot.com